駅の近くに小さいパン屋がある。パリは毎週そこでパンを買う。店の人はやさしいおじさんで、いつも一つおまけをくれる。
ただ、一つだけ分からないことがあった。火曜日だけ店が閉まっている。日曜日は開いているのに、火曜日はいつも暗い。
ある火曜日の午前、パリは小学校の前を通った。中から子供たちの声が聞こえた。窓から見ると、あのおじさんが白い服を着て、パンの作り方を教えていた。
それで火曜日は休みなわけだ、とパリは思った。
次の土曜日、パリは店でおじさんに聞いてみた。
パリ: おじさん、火曜日は小学校で教えていらっしゃいますね。
おじさん: はい。もう十年になります。市の先生に頼まれましてね。
パリ: お休みの日なのに、大変ではありませんか。
おじさん: 楽なわけではありません。でも、子供たちの顔を見ると、休むわけにはいきません。
おじさんは言った。パンが好きな子供は、パンを作る人も好きになる。そういう子供が十年後に店を継ぐかもしれない。だから火曜日は店より大切だ。
その日、パリはいつもより多くパンを買った。火曜日の暗い店が、前より明るく見えた。