十月七日、火曜日。晴れ。
学校へ行く道で、白い財布を見つけた。中には三千円と、一枚のカードが入っていた。
はじめ、どきどきした。だれも見ていなかった。だれも知らない。でも、すぐに分かった。これは私のお金ではない。落とした人は今、困っているに違いない。返すべきだ。
母はいつも言っていた。お金を拾ったら、必ず届けるべきだ、と。
交番は駅の前にある。学校に遅れるかもしれないと思ったが、遅れてもいい。落とし物は交番に届けなければならない。それが決まりだ。
おまわりさんは私の名前と住所を書いた。
おまわりさん: ありがとう。持ち主にすぐ連絡しなければなりません。
学校には十五分遅れた。先生に理由を話したら、先生は笑った。
せんせい: それは正しいことをしましたね。
夕方、交番から電話が来た。財布の持ち主は七十歳のおばあさんだった。病院のお金だったそうだ。
もし私があの道を通らなかったら、おばあさんはとても困ったはずだ。
今日、一つのことを学んだ。正しいことをするのに、理由はいらない。するべきだから、する。それだけだ。