十月の土曜日、市の大会の決勝だった。イノムのチームは一点負けていた。残りは三分。
体育館は暑かった。監督がみんなを呼んだ。
かんとく: 時間がない。ボールを取り次第、前に出ろ。考えるな。
イムロンがボールを取った。取るか取らないかのうちに、相手の選手が二人走ってきた。イムロンは右を見て、左のイノムにパスした。
残り十秒。イノムは走って、止まって、シュートを打った。打ったとたん、体育館が静かになった。
ボールはリングに当たった。一度上に上がって、それから中に落ちた。
ホイッスルが鳴るか鳴らないかのうちに、みんながコートに飛び出した。一点差で勝った。
観客が立ち上がった。相手のチームの選手たちも手をたたいた。いい試合だったと、だれもが思った。
イノムは床に座った。立ち上がったとたん、足が震えた。三分前までは、負けると思っていた。
かんとく: バスが来次第、帰るぞ。
だれも動かなかった。監督も動かなかった。
試合は三分で変わる。諦めたとたん、本当に終わる。イノムはその日、それを体で覚えた。